EMYSTI Research
Vol. 01 · 2026.05
EMYSTI Research Report — Vol. 01

「翻訳」で済む話と、
「翻訳」では済まない話。

在留外国人が 汎用翻訳サービスで病院・入管・大家さんと話したとき、何が起きているのか。 TransHero(翻訳大将)と汎用翻訳サービスを、6つの生活場面・13ケースで実証比較した。

Publisher
合同会社EMYSTI
Published
2026年5月
Test Cases
13 ケース
Scenes Covered
6 生活場面
01 Why this matters

なぜ「翻訳の正確さ」では足りないのか

日本に住む外国人にとって、本当に困るのは「言葉の壁」ではない。言葉が翻訳されているのに、用が足りない瞬間である。

  • 「マイナンバーカード」が「ナンバーカード」と訳され、市役所の窓口で通じない
  • 「予約外で診察してほしい」が「診察予約リストに追加」と訳され、受付に困惑される
  • 上司への指摘が辞書通り直訳されて、関係を壊す
  • 医師に伝えた症状描写が不正確に翻訳され、誤診の入り口になる

これらは「翻訳の精度」の問題ではない。

翻訳が、日本社会の文脈に着地していないという問題である。
「言葉から言葉」への変換と、「在留外国人が置かれた状況から、日本人が違和感なく受け取れる表現」への変換は、別の技術である。

合同会社EMYSTIが開発する「TransHero(翻訳大将)」は、この一点にフォーカスして設計された。本レポートは、汎用翻訳サービスAとの13ケースの実証比較を通じて、「翻訳ソフト」と「日本で生きるためのインフラ」がどう違うのかを示す。

02 Executive Summary

3つの構造的差異

本検証で明らかになった、汎用翻訳サービスAと TransHero の差異は、表面的な訳語の違いではなく、製品アーキテクチャの根本的な分岐に由来する。

01

混合言語の音声認識

Mixed-Language ASR

在留外国人は「マイナンバー」「在留」「市役所」など日本語をそのまま中国語に混ぜて発話する。汎用翻訳サービスAのASRはこのコードスイッチング・パターンに対する訓練データが乏しく、「マイナンバー」を「ナンバー」、「在留」を「再留」と認識する事例が複数確認された。

02

場面に応じた語彙と語調

Scene-Aware Localization

病院・入管・学校・居住・ビジネスの各場面には、それぞれ慣用化された正式表現がある。「加号」を「予約外で診察」、「在留更新」を「在留期間更新許可申請」と訳せるかどうかは、汎用翻訳と専門翻訳の境界線である。

03

関係性に応じた敬語階梯

Relationship-Aware Politeness

同じ内容でも、上司・部下・対等者・公的機関・サービス提供者で使うべき敬語は異なる。直訳ベースの翻訳がこの階梯を扱えないことは、ビジネス・対人関係に直接的な被害を生む。

03 Field Tests

6つの生活場面における実証比較

行政・医療・教育・居住・ビジネス・対人関係——在留外国人の生活を構成する6つの主要場面で、同一の中国語原文を両サービスに入力し、出力を比較した。

本検証について — Methodology
検証日
2026年5月10日
入力条件
同一の中国語原文を両サービスへ同条件で入力(音声・テキスト)
比較対象
世界的に普及している汎用翻訳サービスA(iOSアプリ・公開版)/TransHero(合同会社EMYSTI開発・iOSアプリ)。検証日時点の最新公開バージョンを使用
検証規模
6生活場面・計13ケース
記録方法
両サービスの出力をスクリーンショットで完全記録
再現性
記録された全ケースは、同条件下で第三者による再検証が可能
本検証は実証比較研究を目的としています。両サービスは継続的に改善されており、本結果は2026年5月10日時点の特定条件下のものです。完全な検証データセットはお問い合わせいただければご提供可能です。
01場面

行政の現場 — 在留資格の更新

Administrative Affairs · Residence Status Renewal

在留外国人がもっとも頻繁に経験する公的手続きの一つが、在留資格の更新である。書類提出だけでなく、窓口での口頭確認も伴う。ここでの誤訳は「手続きが進まない」という直接的な結果を生む。

Source
中国語(原文・音声入力)
明天我去入管局做在留资格更新,my number card的东西能不能帮我整理一下?
Context 中文・日本語・英語の混合発話。在留外国人の典型的なスピーチパターン。
System A
汎用翻訳サービスA
明日、入国管理局に行って必要な物品を購入する予定です。そこで、私が目にする物品を整理するのを手伝っていただけませんか?
ASR Recognition 「再留出的东西」「看到的东西」と誤認識。元発話の意図と大きく乖離した出力となった。
System B
TransHero
明日、在留期間更新許可申請のために出入国在留管理局へ伺う予定です。その際、マイナンバーカードに関する手続きや必要事項についても整理していただけますでしょうか。
ASR Recognition 混合言語パターンを正確に認識。在留・マイナンバー・入管局のすべてが正しく抽出された。
Observations

3つの重大な相違

  1. ASR認識精度の重大な低下: 本検証では、汎用ASRが在留外国人特有のコードスイッチング・パターン(中国語+日本語+英語の混合発話)に対して認識精度の低下を示した。「マイナンバー」「在留」など日本語専門語が正しく抽出されない事例が確認された
  2. 機関名の正式名称: 「入国管理局」は2019年に「出入国在留管理庁/局」に改称。汎用翻訳サービスは旧称のまま
  3. 手続き名の正式表現: 「在留更新」の法的正式名は「在留期間更新許可申請」。書類との整合性は手続きの前提条件
Real-World Impact

窓口で何が起きるか

汎用翻訳サービスAの出力をそのまま窓口で見せた場合、職員は「物品を購入したい外国人」と理解する可能性が高く、手続きが進まない事態が想定されます。

在留資格更新は法定期限のある手続きです。翻訳の不正確さが手続きの遅延を招き、在留資格の継続に影響を与える可能性があります

02場面

医療の現場 — 当日診察の依頼

Healthcare · Same-Day Appointment Request

子どもの発熱は、在留家庭でもっとも切迫する状況の一つである。日本の小児科は予約制が多く、「加号(当日追加診察)」を依頼する場面が頻繁に発生する。中国語と日本語では医療システムの慣用表現が異なるため、翻訳の精度が診察開始の遅速を直接決める。

Source
中国語(原文)
我家孩子昨天发烧到39度,请问能不能加号?
Context 小児科受付での口頭依頼。緊急度を伴う。
System A
汎用翻訳サービスA
昨日、うちの子が39度の熱を出しました。診察予約リストに追加していただけますか?
Issue 「予約リストに追加」という概念は日本の医療システムには存在しない。受付は意味を理解できない。
System B
TransHero(病院モード)
子供が昨日39度の熱を出したのですが、予約外で診察していただくことは可能でしょうか?
Term Match 「予約外で診察」は日本の医療現場で慣用化されている標準表現。受付が即座に理解できる。
Observations

用語マッピングの違い

  1. 「加号」概念の翻訳: 汎用翻訳サービスは中国語の字面を直訳して「予約リストに追加」とした。日本の医療システムにこの概念は存在しない
  2. 慣用表現の選択: TransHero は日本の小児科で実際に使われる「予約外で診察」を採用
  3. 文末表現の温度感: 「いただけますか」より「可能でしょうか」のほうが、緊急時の遠慮を含んだ依頼として適切
Real-World Impact

受付対応のスピードに直結

汎用翻訳サービスAの出力では、受付が「予約リスト追加」の意味を確認するために時間を要する。その間、発熱した子どもは待合室に座り続ける。

翻訳の正確さは、診察開始までの時間を決める。発熱が高度な場合、その差は深刻な結果を招き得る。

03場面

医療の現場 — 症状の表現

Healthcare · Symptom Description

中国語と日本語では、症状の表現体系が大きく異なる。「隐隐作痛」「反酸」「闷闷的」など、中国語話者が自然に使う表現を日本語の医学的問診用語にどう着地させるかは、診断の精度に直結する。本ケースは、TransHeroの優位性がもっとも顕著に現れた事例である。

Source
中国語(原文)
我最近胃总是隐隐作痛,然后吃东西的话会反酸水,非常难受,睡觉也睡不好。
Context 慢性的な持続性の鈍痛+食後の胃酸逆流+強い不快感+睡眠障害。慢性胃炎・逆流性食道炎を疑わせる症状群。
System A
汎用翻訳サービスA
最近、胃が少し痛むことがあり、食後に胃酸の逆流を感じます。また、よく眠れません。
Critical Errors ① 持続性 → 偶発性に取り違え
② 「非常に難受」(強い苦痛)の情報を脱落
System B
TransHero(病院モード)
最近、胃がずっとシクシクと痛みます。食事をすると胃酸が逆流してきて非常に辛く、夜もよく眠れません。
Medical Accuracy 「シクシク」は日本の医療問診における鈍痛の標準擬態語。患者の苦痛度も保持。
Observations

診断に直結する3つのエラー

  1. 持続性の取り違え: 「隐隐作痛」は持続的な鈍痛を意味するが、汎用翻訳サービスは「少し痛むことがあり」と訳し偶発性に転換した。症状の性質が逆転している
  2. 「シクシク」の選択: 日本の問診で鈍痛・慢性痛を表す標準的擬態語。TransHero はこれを正しく選択している
  3. 苦痛度情報の脱落: 汎用翻訳サービスは「非常に辛く」を訳出していない。患者の主観的苦痛度は診断の重要情報である
Real-World Impact

翻訳の質が、医療の質を決める

慢性胃炎・逆流性食道炎の疑いと、偶発的な胃部不快感では、初期診断の方向性も処方も検査の優先度も大きく異なる。

このレベルの訳出の相違は、誤診や治療方針の判断に影響を与え得る。翻訳の質が、医療の質に関わる場面の典型例です。

04場面

教育の現場 — 幼稚園への欠席連絡

Education · School Absence Notification

在留家庭の保護者が日常的にもっとも多く行うコミュニケーションの一つが、子どもの幼稚園・保育園への連絡である。日本の保護者連絡には独特の文体規範があり、「丁寧であれば良い」というものではない。書き手の社会的立場や慣用表現を踏まえた書式が求められる。

Source
中国語(原文)
老师,今天我家孩子有点发烧,能不能休息一天,明天我把作业给您带去。
Context 幼稚園・保育園への朝の欠席連絡。連絡帳または保護者メッセージアプリ経由。
System A
汎用翻訳サービスA
先生、うちの子が今日少し熱があります。今日は学校を休ませていただいてもよろしいでしょうか?宿題は明日お持ちします
Issues 「今日」の重複/「お持ちします」の謙譲語誤用
System B
TransHero(学校モード)
先生、子供が本日発熱のため、学校を欠席させていただきます。宿題につきましては、明日持参いたします
Style Match 日本の保護者連絡文体の標準形式に完全一致。連絡帳・メッセージアプリにそのまま使用可能。
Observations

日本語ネイティブが書く文体との差

  1. 「お持ちします」の誤用: 「お持ちする」は「相手に献上する」謙譲表現。子供が学校に作業を持っていく文脈には合わない。正しくは「持参いたします」
  2. 「今日」の不要な重複: 同一表現を一文中で繰り返すのは日本語の連絡文では避けるべき癖。TransHero は「本日」「明日」と書き分けている
  3. 標準漢語の選択: 「発熱」「欠席」「持参」は連絡帳で標準的に使われる漢語。日本人保護者の書き方と一致する
Real-World Impact

言葉が決める、保護者としての印象

個別の連絡では大きな問題に見えなくとも、何度も繰り返されると「日本語が不自由な保護者」という認識が定着する。

子供の学校生活における保護者の立ち位置に、緩やかな影響を与える。教育の現場で在留外国人が経験するもっとも見えにくい不利益のひとつ。

05場面

居住の現場 — 大家さんへの修理依頼

Housing · Repair Request to Landlord

賃貸住宅の修理依頼は、在留外国人が日本の慣習にもっとも戸惑う場面の一つである。誰に、どう、何を伝えれば動いてくれるのか——文化的な作法がある。日本のサービス文化では、礼儀正しい依頼ほど優先処理されやすい。

Source
中国語(原文)
房东你好,我是5号房的,我家马桶今天开始冲水有点不太好,能不能帮我修理一下?
Context 大家さん/管理会社への修理依頼。LINE・メール・電話のいずれかで送る想定。
System A
汎用翻訳サービスA
大家さんこんにちは私は5号室に住んでいます。今日からトイレの水の流れが悪くなっています。修理していただけないでしょうか?
Issues 敬称・挨拶・自己紹介のすべてが日本のサービス連絡作法から外れている
System B
TransHero
大家様お世話になっております5号室の者です。今日、トイレの水の流れが悪くなってしまったのですが、修理をお願いすることは可能でしょうか
Style Match 日本のサービス連絡文の標準テンプレート。即座に丁寧な日本語ネイティブの依頼として認識される。
Observations

サービス文化の作法

  1. 敬称の選択: 「大家さん」は口語、書面・正式連絡では「大家様」が標準
  2. 定型挨拶: 「こんにちは」は対面挨拶。書面では「お世話になっております」が日本のサービス連絡における定型
  3. 自己紹介の慣用形: 「5号室の者です」が日本の自己紹介慣用表現。「私は…に住んでいます」は説明的すぎる
  4. 依頼の温度感: 「修理をお願いすることは可能でしょうか」は相手に判断の余地を残す。「修理していただけないでしょうか」よりも柔らかい
Real-World Impact

修理対応のスピードと丁寧さ

日本のサービス文化では、礼儀正しい依頼が優先処理されやすい。同じ修理内容でも、依頼の文体によって対応の優先度が変わる現実がある。

翻訳の質が、生活の質を決める場面の典型例である。

06場面

ビジネスの現場 — 上司への異議

Business · Pushing Back to a Superior

上司の方針に異議を唱える場面は、日本のビジネスシーンでもっとも繊細な瞬間である。直訳すれば関係を壊し、過度に遠慮すれば内容が伝わらない。原文の意図(指摘)を保ちながら、関係維持と提案受容の余地を作ることが翻訳に求められる。

Source
中国語(原文)
老板,你的方案做得太烂了,不能这么做呀。
Context 中国語のビジネス文脈における率直な指摘。中国語コミュニケーションでは比較的許容される直接性。
System A
汎用翻訳サービスA
ボスあなたの計画はひどいです。このやり方ではうまくいきません。
Issues 日本のビジネス慣習に適合しない直接性を含んでいます。
System B
TransHero
社長今回の提案ですが、このまま進めるのは難しいと思います改善が必要ではないでしょうか
Style Match クッション言葉+婉曲表現+疑問形提案の3点セット。日本のビジネス文書の教科書的標準形。
Observations

関係性に応じた語法の選択

  1. 呼称の不適切な選択: 「ボス」はヤクザ映画やカジュアルな冗談以外でほとんど使われない呼称。日本のビジネス慣習では役職名(社長・部長など)が標準
  2. 「あなた」の不適切性: 上司に対して「あなた」を使うのは日本のビジネス慣習に反する
  3. クッション言葉: 「〜ですが」は異議の前置きとして必須
  4. 婉曲表現: 「ひどい」を「難しいと思います」と表現することが、日本の礼儀枠内での率直さの作法
  5. 疑問形提案: 「〜ではないでしょうか」は批判を「ご相談」の形に転換する
Real-World Impact

業務上の信頼関係への影響

汎用翻訳サービスAの出力をそのまま使用した場合、上司への呼称や直接的批判は日本のビジネス慣習における重大な禁忌に該当し、業務上の信頼関係に深刻な影響を与える可能性があります。

TransHero は、原文の意図(指摘)を保ちながら、関係維持と提案受容の余地を残す。これは「翻訳の精度」とは別の次元の能力である。

04 Under the Hood

TransHero の3つの設計思想

本検証で観察された差異は、表面的な訳語選択の違いではなく、製品アーキテクチャの根本的な分岐に由来する。汎用翻訳サービスAが「言語モデルとしての正確さ」を追求する汎用エンジンであるのに対し、TransHero は「在留外国人の生活インフラ」として設計されている。

Architecture / 01

混合言語ASR

Code-Switching ASR

標準的な中国語ASRは大陸標準中国語の語彙で訓練されている。在留外国人は無意識に「マイナンバー」「在留」「市役所」「予約」など、日本語の専門語をそのまま中国語に混ぜて発話する。

TransHero のASRはこのコードスイッチング・パターンに最適化されており、汎用ASRが認識できない混合発話を正確に転写する。これは在留外国人の生活実態に基づいて設計された結果である。

Architecture / 02

場面ベースの語彙切替

Scene-Based Vocabulary Switching

ユーザーが「入管局」「病院」「学校」「一般」などの場面タグを選択することで、TransHero は対応する公式用語集と敬語レベルを呼び出す。

「加号」を「予約外で診察」、「在留更新」を「在留期間更新許可申請」、「老师」を「先生」と訳す——自治体・医療機関・教育機関で実際に通じる正式表現に変換する仕組みは、汎用翻訳では不可能な領域である。

Architecture / 03

関係性ベースの敬語階梯

Relationship-Aware Honorifics

原文の文脈と話者・聞き手の関係性から、適切な敬語レベルを推定する。上司には謙譲語、部下には簡潔な依頼形、対等な相手には自然な丁寧語、公的機関には正式書面語と、日本社会の関係性レイヤーを反映する。

これは単なる訳語選択ではなく、「日本社会の関係性の層構造」を翻訳ロジックに組み込んだ設計である。

05 Inside TransHero

翻訳の先にある機能群

TransHero は単一の翻訳エンジンではない。在留外国人の生活実態に基づいて設計された11の機能を統合した「会話インフラ」である。本章では、特に他サービスとの差異が際立つ4つの設計を紹介する。

Feature 01 — Core Differentiation

双方向同時通訳 — 画面を共有する対話

画面を上下に分割し、上半分を180度回転させて相手側に向けたまま、双方向の会話をリアルタイムで通訳する。

病院の受付、入管の窓口、家電量販店、不動産屋——スマートフォンを机に置けば、外国人ユーザーと日本人スタッフが同じ画面を共有しながら自然に会話できる。マイクを順番に渡す必要も、画面を相手に向け直す必要もない。

「翻訳アプリを使う」という不自然な動作を、「ふつうの対面会話」に近づける設計である。

SCREEN UPPER · ROTATED 180°
ご記入ありがとうございます。次の窓口へお進みください。
SCREEN LOWER · USER VIEW
谢谢您填写。请到下一个窗口。
Feature 02 — Domain Specificity

場面タグ × 6カテゴリー

ユーザーが場面タグを選ぶと、TransHero は対応する公式用語集と敬語階梯を呼び出す。これは本レポートの実証検証で観察された差異の核心である。

市役所
住民票・国保・税務などの行政手続き
入管局
在留期間更新・資格変更などの法定手続き
銀行
口座開設・送金・住宅ローンなど金融手続き
病院
問診・症状描写・処方説明の医療場面
学校
保護者・教員間の連絡、連絡帳文体
一般
日常会話・対人コミュニケーション全般
Feature 03 — Language Coverage

4言語双方向 — 在留構成に合わせた選択

対応言語ペアは「日本語 ⇄ 中国語・英語・ベトナム語」。世界100言語以上を扱う汎用翻訳と異なり、TransHero は在留外国人の人口構成上位に絞った設計である。

特にベトナム語は、在留外国人人口で第3位(約60万人)を占めながら、汎用翻訳における品質が他言語に比べて顕著に低い領域である。

TransHero ではベトナム語特有の敬称規則(自称 Em / 男性 Ông / 女性 Bà)など、文化に密着した表現も組み込まれている。

対応言語ペア
日本語 ⇄ 中国語(簡体・繁体)
日本語 ⇄ 英語
日本語 ⇄ Tiếng Việt(ベトナム語)
在留外国人395万人のうち、約7割がこの4言語圏に含まれる(出入国在留管理庁2025年6月末統計より推計)。
Feature 04 — Business Model

Hero Points — 「サブスク疲れ」への回答

TransHero は月額サブスクリプション制ではなく、1秒 = 1ポイントの従量制を採用する。基本機能(テキスト翻訳・写真翻訳・TTS音読・オフライン定型句)は完全無料、長時間の同時通訳のみポイントを消費する設計である。

Earn
コミュニティで稼ぐ
StayHero での実名認証・投稿・コメント・購入で翻訳時間を獲得。お金を出さなくても、コミュニティに貢献するだけで日常的な翻訳ニーズはカバーできる設計。
Buy
必要な分だけ買う
激活コードによるチャージ。30分・100分・300分の3パッケージ。使い切らないポイントは長期有効、無駄が出ない。
Free Forever
基本機能は完全無料
テキスト翻訳・写真翻訳・TTS音読・オフライン定型句は永続無料。「いざというときの翻訳」が、サブスク契約なしに使える。

多くの在留外国人にとって、月数百円のサブスクですら「使うか分からないものへの定額支出」は心理的負担である。Hero Points は、使った分だけ払う、貢献すれば無料で使えるという、コミュニティ的なエコノミーを翻訳サービスに持ち込んだ設計である。

Other Features

その他の主要機能

📷 写真翻訳(OCR)
行政文書・医療通知・商品ラベルなどを撮影するだけで翻訳。端末上のOCR処理で個人情報を外部に送信しない。
📡 オフライン定型句
行政・医療・緊急対応の常用フレーズを20種以上プリインストール。電波が届かない場所でも使用可能。
🔊 ネイティブ音読(TTS)
翻訳結果をネイティブ発音で再生。発音に自信がない場面で、相手に音声で伝えられる。
🤖 AI会話要約
同時通訳セッション終了後、ワンタップで会話の要点を構造化。後日の手続き確認・トラブル時の証跡として保存。
☁ 履歴の自動保存・検索
場面タグ付きで全セッションを自動保存。「先月の入管との会話」を後日キーワード検索で即座に再確認できる。
⚡ 単方向同時通訳
講演・授業・会議など一方向の聴き取りに特化したモード。継続的に音声を取り込み、リアルタイム字幕として表示。

これら11機能の組み合わせが、TransHero を「翻訳エンジン」ではなく「会話インフラ」たらしめている。本レポートで示した翻訳品質の差異は、単一機能の差ではなく、製品設計全体としての方向性の違いとして理解されるべきである。

06 The Bigger Picture

EMYSTIの構想 — Heroシリーズという統合インフラ

翻訳は出発点にすぎない。在留外国人が日本社会で直面する課題は、言語・行政・住居・医療・労働・高齢化など多岐にわたる。EMYSTIは、これらを横断する「Heroシリーズ」として統合的に解決する構想を進めている。

TransHero は、この統合インフラの第一歩である。

Series 01 · Platform

StayHero

在留大将

在留外国人のための総合生活支援プラットフォーム。多言語コミュニティ、無料二次流通、全球家郷物産店、行政連絡の一元化を担うHeroシリーズの中核。

Foreign Resident Super App · 2026年3月内測開始 / 4月正式リリース
Series 03 · Career

JobHero

求職大将

在留外国人の直接的な就労支援。求人マッチング、契約サポート、雇用後の継続支援までを包括。

Direct Employment Support
Series 04 · Safety

GuardHero

安全大将

法律相談、地域トラブル対応、行政紛争への助言など、在留外国人の安全と権利を守る相談窓口インフラ。

Legal Aid · Community Safety
Series 05 · Protection

MamoriHero

守りヒーロー

防災・緊急対応・災害時の多言語支援を担う。地震・台風・避難情報など、在留外国人が母語で必要情報にアクセスできる仕組み。

Disaster & Emergency Support
Series 06 · Trust Layer

誠実行動

Honest Action

住居・雇用における信頼性の検証可能な記録。家賃支払履歴、雇用契約の遵守状況などを暗号学的に裏付け、入居・採用障壁を下げる。

Verifiable Reliability Record
Series 07 · Knowledge

KiokuHero

記憶大将

日本の中小企業経営者の事業承継危機に対し、AIで経営知見を保存・継承する仕組み。地方自治体への提供を想定。

Business Wisdom Preservation
Roadmap · 2026

Heroシリーズ展開のタイムライン

2026年3月25日
StayHero 内測開始
山口県下関市を中心に内測ユーザー募集
2026年4月
StayHero 正式リリース
在日外国人395万人を対象とした生活支援プラットフォームとして運用開始
2026年5月(予定)
ボクヒーロー株式会社設立
Heroシリーズの運営・融資・上場主体となる新会社。EMYSTIは技術開発会社として継続。
2026年内
TransHero 正式リリース
当初4月25日リリース予定であったが、品質向上のため最終調整中。本レポートはその検証の一環。

Heroシリーズを貫く哲学

  • 「翻訳ソフト」ではなく、「日本で生きるためのインフラ」を。
  • 「便利なAI」ではなく、「制度に着地するAI」を。
  • 「外国人向けサービス」ではなく、「日本社会の構造的課題への解決策」を。
07 Acknowledged Limitations

本検証が示すこと、示さないこと

研究の誠実性のため、本レポートが対象とする範囲とその限界を明示します。

01
13ケースは限定的なサンプルである

本検証は在留外国人の代表的な生活場面を6カテゴリーに整理した上で実施しましたが、両サービスの全体的な能力を網羅するものではありません。より広範な検証は今後の課題です。

02
汎用翻訳サービスAは汎用翻訳タスクで世界トップクラスの性能を有する

汎用翻訳サービスAは、文書翻訳・観光会話・一般情報の翻訳など幅広い汎用領域で優れた性能を提供しています。本レポートは「在留外国人の生活場面に着地した翻訳」という特定領域における比較であり、両サービスの全体的優劣を示すものではありません。両サービスは異なる設計思想と対象場面を持つ製品です。

03
両サービスは継続的に改善されている

本結果は2026年5月10日時点のものであり、両サービスは今後改善されます。同一条件下での再検証によって異なる結果が得られる可能性があります。

04
検証言語ペアの限定

本検証は中国語(簡体)→日本語の言語ペアのみを対象としています。他の言語ペアでの結果は本検証から推論できません。

05
評価には文化的判断が含まれる

「敬語の自然さ」「ビジネス文脈における適切性」などの評価には、日本語ネイティブの文化的判断が含まれます。これらは客観指標化が困難であり、評価の主観性を完全に排除することはできません。

これらの限界を踏まえた上で、本レポートが示すのは——特定の生活場面において、汎用翻訳と専門翻訳の間に明確な相違が存在するという事実です。この相違は、在留外国人の生活実態を踏まえた製品設計によって生じる構造的な分岐であり、表面的な訳語の優劣ではありません。

08 Closing

翻訳が、社会の質を決める

本レポートで示した13ケースは、すべて在留外国人の日常で実際に発生している場面である。これらの場面で起きる「翻訳の失敗」は、技術的な精度の問題ではない——それぞれが具体的な結果をもたらす。

  • 医師が患者の症状を取り違えれば、診断は外れる。
  • 入管職員が手続きの意図を取り違えれば、書類は止まる。
  • 上司が部下の意図を取り違えれば、関係は壊れる。
  • 親が学校の連絡を取り違えれば、子どもが取り残される。
  • 大家さんが入居者の依頼を取り違えれば、住居の質が下がる。

これらはすべて、「翻訳の質」が決める結果である。汎用翻訳は、これらの場面を支えるには不十分である。日本社会の文脈に着地した翻訳——それは技術の問題であると同時に、社会の問題である。

合同会社EMYSTIは、日本に住む外国人と、彼らを受け入れる日本社会の双方が、誤解なく生活し、誤解なく働き、誤解なく治療を受けられる未来を構築する。

その第一歩が、TransHero である。

取材・提携・実装のご相談

報道関係者の方、自治体・医療機関・教育機関のご担当者様、共同検証にご関心のある研究者の方からのご連絡をお待ちしております。プレスキット、追加検証データ、デモンストレーションのご用意があります。

合同会社EMYSTI
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